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最近、「市場(いちば)」が気になっています。元々は、人が自律して生きる社会とはどのようなものかを考えるなかで、アナキズムに関心を持ち、松村 圭一郎さんの『くらしのアナキズム』を読んだことで、関心の線がゆるやかにつながりました。
「鶴見俊輔が定義したように、アナキズムは「権力による強制なしに人間がたがいに助けあって生きてゆくことを理想とする思想」だ。「たがいに助けあう」。この言葉からは、心あたたまる無償の支援や贈り物のやりとりが思い浮かぶ。たしかに「贈与」はアナキズムと関係が深い。でも、じつはそれと対極にあるようなお金を介して物を売り買いする「市場」という空間にも、アナキズムと通じるものがある。」
—『くらしのアナキズム』松村 圭一郎著
では、どうアナキズムが市場とつながるのかについては、ぜひ書籍を読んでいただきたいのですが、社会がどうなっていくといいのか、どんな営みを増やしていけるといいのかのヒントをいただいた気持ちでした。
「PASS THE BATON MARKET」や「ててて見本市」といったマーケットイベントに参加する機会も重なり、これらのマーケットに参加しながら、なにに惹かれているのだろうかと思案する日々が始まりました。
ここから何か新しいものが立ち上がる感覚を覚えて、色々とインプットしたいなと考えていたのです。ちょうど、最近建築家の藤村さんのツイートを目にしました。
日常と非日常、プロとアマ、その間をどう捉えるのか。ここを紐解き、新しい街のあり方、暮らしの風景を考えるヒントが、マーケットにはあると感じていたのかもしれないなぁと噛み締めています。『くらしのアナキズム』の中には、こんな一節も登場していました。
「大市であれ、ふつうの市であれ、市場はつねに非日常の空間だった。ブローデルはこう説明する。
市に不慣れな人々、ふだん市とは縁がないか市から遠く離れている人々にとって、市は一種特別の祭り、旅、ほとんど冒険の旅と言ってもよいようなものとして眼に映る。〔中略〕つまり自己を顕示し着飾って歩く絶好の機会なのだ。(同五〇頁)
非日常の空間である市は、庶民にとって日頃のしがらみから逃れ、ささやかな散財で気分を変えられる自由の空間でもあった。」
—『くらしのアナキズム』松村 圭一郎著
自己、自由、日常、非日常など、自いくつかのキーワードが「市場」を経由してつながっていく感じがありました。タイミングが良いのか、何かの引力が働いているのか、ちょうど本日から開催3日間に渡って開催される「つくる。買う。選ぶ。の未来」をテーマとした「Lifestance EXPO」にもメディアパートナーとして関わることになりました。
事前の打ち合わせがあったわけでもないのですが、インクワイアが主催するデザインフェスティバル「Featured Projects 2023」も、4月8、9日に開催します。(会場が、すべて上述の「PASS THE BATON MARKET」や「ててて見本市」とも同じTHE CAMPUSというのは、この空間の魅力ですね)
偶然にも「市場」や「マーケット」に関係する機会に恵まれていることもあり、しばらく探究テーマのひとつにしたいと思っています。
今週もおつかれさまでした。私はこの週末、上記の「Lifestance EXPO」に出没しているかと思いますので、会場にいらっしゃる現地でお会いしましょう。
─モリジュンヤ
Update
今週更新したinquire.jpの記事をお知らせします。今週は取材記事といくつかのニュースを掲載しました。
イベントレポート
ビジネスにおける人権課題にどのように企業が適応し、経営を強化できるかについて議論を進めている「企業と社会フォーラム」において開催された、「正しいビジネス “JUST BUSINESS”とは?」をテーマにしたオンライン研究会(第36回東日本部会)のレポートです。
以前公開した前編はこちら。
ニュース記事
Related Information
今週も、inquire Studioを中心にいくつかの発信を行いました。ぜひお時間ある際にご覧ください。
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Featured Projects 2023
designingによるイベント「Featured Projects 2023」も参加者を募集中です。「よいものづくり」をテーマにしたトークセッションとマーケット、ワークショップの複合イベントとなっております。みなさまのご来場お待ちしています。Featured Projectsについては、こちらから。
様々なメディアにも掲載いただいております。
editorial studies
広がり続けるメディアや編集の可能性を探究し、その担い手として未来の創造に貢献するためのイベントシリーズ「editorial studies」の参加者を募集中です。
第2回は、「社内シンクタンク」に求められる役割、どのように立ち上げ、運営していくことが必要なのかについて、いくつかの支援を手掛けてこられたCobe Associeの田中 志さんをゲストにお招きし、お話を伺います。ぜひご参加ください。
第3回は、「The HEADLINE」などを展開する株式会社リバースタジオ代表の石田健さんをお招きして、AIテクノロジーとメディアの共生にはどのようなポテンシャルがあるのか、メディアにおいて人が担う役割は何になるのか、想定しておくべき倫理などについてお話を伺います。
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