#48 脆弱で不確実な世界で生きるための3つの「抵抗」
周辺から再構築する
Lookup
しばらく筆を執っていない間に、世界ではいろいろなことが起こりました。戦後に構築されてきたという秩序が、これほどまでに脆いものだったのかと、世界や社会に対する認識を更新しなければと考える日々です。
トランプ大統領による発言内容が過激であることはもちろん、記者会見などを待つことなくSNSでの発信を積極的に行うため、事象に対する応答の速度がどんどん加速しています。問題発言の流通速度が増して、その発言者の影響力が大きいとなると、その分対応しなければならない立場は高い不確実性に向き合わなければなりません。
人為的に不確実性の高い状態を作り出せるのは、なにもトランプ大統領に限ったことではありません。そして、こうした状況を作り出すことを米ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長は「不確実性の武器化」と述べています。
経済や政治などが激変することによる直接的な影響に加えて、武器として扱われる不確実性にどう向き合うのかが求められる時代になってしまいました。国家間の取引や交渉に関することだと、なかなかできることはないかもしれません。ですが、変化に備えること、不確実性に向き合うことは個人としても大切なことです。こうした状況の変化を見ながら、流されてしまうだけではなく、なんらか抵抗ができないかと考えたことは大きく3つあります。
まず、身の回りでつながりや経済がおおよそ完結するような状況を再構築すること。これはグローバルで繋がりすぎ、脆弱性が強く出てしまっている状況に対する抵抗でもあります。ハイパーローカルな取り組みとしてどのようなことができるかを考えて、実践機会を増やしていきたいと思います。
続いて、情報との付き合い方を変えていくこと。これはメディア・リテラシーやメディア・コンピテンシーなどの言葉で表現されてきたことにも近いかもしれません。情報の真偽に向き合うリテラシーに加えて、膨大な情報から無意識に受け取る負の影響を排除できるようにすることが重要になっています。「心のノイズキャンセリング」のようなものと言えるかもしれません。これは個人として実践しつつ、情報を媒介する仕事をしている人間としては、情報のキュレーションの仕方や届ける際の柔らかさなどをどう変えていけるかがテーマとなりそうです。
最後に、大きな潮流が変わろうとしても、自分が大切だと信じていることから目を背けないこと。たとえば、DEIや気候変動への取り組みなどはトランプ大統領の就任後に、大きな潮目の変化を迎えています。いくつかの企業はDEIや気候変動への取り組みへの撤回を発表しました。これらのテーマが、私たちが生きる世界において、中長期的に向き合わなければならないことであるのは変わりません。少数ではありますが、これまでと姿勢を変えずに取り組み続けることを表明している企業もいます。自分たちの信念に沿った行動をとり続けられるようにすること。これまで以上に、姿勢が問われているように感じています。
大きくて激しい変化が起きていますが、まずは自分の周辺から再構築することを試みる。それを実践していきたいと思います。実践の過程などは、またこのニュースレターでも紹介させてください。
Update
ここからはinquire.jpで掲載した記事を紹介します。
NPO同士が連携することで、よりシームレスな支援が提供可能になる。その実践例として非常に興味深く見ています。前述のような社会では、こうした実践者同士がつながって活動することがこれまで以上に重要になると考えています。
とはいえ、NPOは社会から信頼される団体だと認識されるには至っていません。市民や企業からの信頼を獲得しながら、連携をしたり、寄付を集めたりすることが求められます。そんなときには、信頼性を客観的に評価し、見える化する「グッドギビングマーク」のような新しい認証制度の重要性は今後増していくのではないでしょうか。
Information
こちらではインクワイアからのお知らせを紹介していきます。
freeeさんとイベント「価値ある三方よしを生むためのプロダクト開発 ——作り手の倫理・責任・願い」を開催
ダークパターンやアクセシビリティ、インクルーシブデザイン、UXデザインなど、幅広いテーマを扱い、三方よしのプロダクト開発を実現するためには、どうしていったらいいのかを考えるイベントをfreeeさんと共同で開催しました。
誰もが使えて、使いやすく、不利益がないプロダクトをつくる。社会のなかにプロダクトが浸透し、使う人がさらに増えていくなかでは、こうした問いに向き合っていくことも重要になっていくと考えています。
インクワイアでこうした場を開くだけでなく、大きな問いや課題を共有できる企業と協働して場を開いていくことは今後も取り組んでいきたいと考えています。
IMPACT SHIFT 2025のデザインセッションに登壇しました
2025年3月2日に行われたトークセッション「社会性と経済性の狭間から『デザイン』の可能性を問い直す」に登壇しました。上記のイベントの共催と通底する問題意識があり、少しでも可能性を共有できたらと思い、登壇者として話をさせていただきました。登壇したセッションの内容は、CINRAさんでレポートが掲載されているので、気になる方はぜひ読んでみてください。
グッドデザイン賞2024フォーカス・イシュー「はじめの一歩から ひろがるデザイン展」にdesigningが企画協力
東京ミッドタウン・デザインハブにて2025年3月13日(木)から5月6日(火)まで開催されている第113回企画展「はじめの一歩から ひろがるデザイン展 - グッドデザイン賞2024フォーカス・イシュー -」にdesigningが企画協力をしています。
URL:
https://www.designhub.jp/exhibitions/fi2024
グッドデザイン賞の重要な役割の一つに、次なる社会に向けた可能性や課題の発見があります。フォーカス・イシューはこの役割を担うために生まれた、デザインがいま向き合うべき重要な問いを深めることに特化した取り組みです。
フォーカス・イシューでは、審査プロセスを通して探求すべきと考えるテーマを「イシュー」として設定。応募対象を観察しながら、これからの社会における可能性やデザインの役割と意義について思索を重ね、審査後に提言として発表します。
designingでは、このフォーカス・イシューについてのストーリーをカバーしてきました。この企画展も、これまでのdesigningの連載も、ぜひ合わせてチェックしてください。
URL:
https://designing.jp/series/focused-issues
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
inquire.jpは、各種SNSでも情報を発信しています。こちらもぜひフォローをお願いします。
Instagram
https://www.instagram.com/inquire_jp/
Threads
https://www.threads.net/@inquire_jp
X(Twitter)
https://x.com/inquirejp
また、SpotifyやApple Podcastをはじめ各種音声プラットフォームでポッドキャスト「inquire Cast」を配信しています。ぜひ購読をお願いします。
Spotify
Apple Podcast
今回もinquire Letterをお送りしました。しばらく不定期の配信が続きますが、引き続きよろしくお願いいたします。
インクワイアでは、クリエイティブ・リソース・ライブラリ「inquire.jp」の運営に加え、クリエイティブスタジオ「inquire Studio」などさまざまな活動を行っています。なにかご相談のある方は、ぜひお気軽にお声がけください。





